亀岡市レジ袋禁止条例までの道のり〜市民との対話について〜



2022年4月末、ゴキゲンらぼのサステナブルツアー@京都府亀岡市を開催しました。とても内容の濃いツアーとなった様子を連載形式でみなさまにお届けしたいと思います。


第一弾は、大阪商業大学公共学部公共学科の准教授として海洋プラスチック問題を研究されている減プラスティックのキーパーソンであり、ゴキゲンらぼのアドバイザーも務めてくださっている原田禎夫先生とご一緒した亀岡市役所でのインタビューの様子【後編】をお伝えします。


お話ししてくださったのは、全国初のプラスチック製レジ袋の提供禁止条例の制定に尽力され使い捨てプラスチックごみゼロを目指す亀岡市の環境政策を担われている環境先進都市推進部長である山内剛さん一般廃棄物の適正処理や更なる資源化を推進するために、亀岡版ゼロエミッションの策定に携わられている 環境先進都市推進部資源循環推進課長の大西光治さんです。とても興味深い対談の様子を余すところなくご紹介します!


ひとつひとつ丁寧に説明し、理解を広げる

原田さん(以下・原)市民の皆さんも、積極的な方ばかりじゃないですけど、7割方は賛成でした。この数字は、僕も学生と一緒にアンケート調査をしても、どこの町でもだいたい6〜7割ぐらいの方がレジ袋禁止に賛成していらっしゃいます。学生が質問をするから良い格好をして答えるというのもあるかもしれませんが、そこを差し引いて考えても過半数の人は賛成で、明確に反対はされない。僕らはそういうデータを知っているので、レジ袋禁止は出来るという確信はありました。だた、お店の方は目の前のお客さんに文句を言われたらどうしよう、隣町に買い物に行かれたらどうしようと、数字で説得できる部分じゃないところに不安を抱いてらっしゃいました」


山内さん(以下・山)「はい。正しい情報を伝える必要があると考え、プラスチックスマート亀岡100人会議をKIRI KAFE(キリカフェ)で開催しました」


今井みさこ(以下・み)「どんな内容だったのですか?」


:「保津川下りの船頭さん達が、どのような思いで川の清掃をやり始めたのか。それがNPOに広がり、行政も一緒に実施するとなった経緯など、町としてやってきた背景をわかりやすく伝えました。また、原田さんには、学者としての知見で、世界の潮流で現在起こっている正しい情報を説明してもらいました」


:「参加された方の中には海外にお住いの経験がある方がいらっしゃって。有料の紙袋はもっと高くていいんじゃないか、という意見も出ていましたね。厳しい意見も含めて対話がとても大事だと感じましたね。市民へ、議員さんへの対応も、賛成の方ばかりじゃないので、山内さん達の苦労は、僕らの苦労より大きかったと思います」


:「膝を突き合わせながら丁寧に説明して、ひとつひとつの理解を広げていくイメージでした。結果として7割の方が賛成になり、そこを提示したときに、事業者さんも納得される雰囲気になりましたね。」


木村まゆこ(以下・ま):「プラスチック製レジ袋の提供禁止条例が制定されたことは素晴らしいことですね」


:「大げさに言うと、町が二分されるぐらい、たくさんの議論がありました。ただ、こうした議論を経て条例が可決されたことに大きな意味がありましたね。条例は、事業者も市民もみんなが守らなければいけないまちのルールです。だからエコバックを持つっていう小さな環境行動だけど、みんなが一斉に小さな一歩を踏み出した条例の効果は非常に大きかったです。買い物の時に「これは無駄だよね・使い捨てはダメよね」という気持ちが芽生えたんです。賛成、反対があったとしても、みんなに考えてもらえたんです。だからその後に実施する市民参加型の事業への参加数がとても多くなりましたね」


市民参加型イベントを市をあげてチャレンジする

:「条例が市民のみなさんの視座も変えたんですね」


:「そうです。その後、ペットボトルをなくそうということで、市民の皆さんと共にmymizuチャレンジに取り組みました。mymizuアプリは、給水トラッカーとして記録ができ、ペットボトル削減数を換算することが出来ます。このmymizuアプリを使ってどれだけペットボトルを削減できたかを競うゲーム(mymizuチャレンジ)をまちを挙げてやりました。参加者は約1,200名、チーム数で言うと約280チームでの実施となりました。


ちょっとやってみよう!くらいの気持ちからスタートできたことは、市民参加型の効果だと思います。また、気軽に散歩しながらごみ拾いをするエコウォーカー事業をスタートさせました。どうせ歩くなら、ついでにごみを拾ってみませんか?みたいにね。その後、エコウォーカーは一気に1000人を超える登録者となりました。まちでごみを拾っている人がいる。それをちょこちょこ見かけるようになりました。広がり方はこれまでより、大きく感じますね


:「みんなの小さな一歩が大きなムーブメントになったということですね」


西さん(以下・西):「ステンレスボトルの回収も、正直、集まるか予測ができなかったのですが、現在、亀岡市だけでも、400本前後の回収に成功しているんです



亀岡版ゼロエミッションの策定に携わられている 環境先進都市推進部資源循環推進課長の大西光治さん


大西さん(以下・大):「環境教育や学校のさまざまな取り組みの中で、ステンレスボトルのリサイクルの説明を行なっていたので、こちらのイメージよりも取り組みやすかったかなと思うんです」


西:「まちをあげて下地を作って下さっていた。ありがたい話です」


人が動くことで生まれる連鎖を大切にする

:「条例ができる以前から、原田さんはじめ、亀岡市内の学校ではさまざまな環境教育を実施していただいてましたね」


:「僕も身体はひとつなので、保津川下りの船頭さんなどを巻き込み、みんなで役割分担していますね。面白い実例があるんです。保津町(保津川下りの向こう側)で校長先生をされていた方が定年退職されて、市の教育研究所の所長に着任された時、一度その活動のお話を学校の先生達にしてくれないかと言われて、小学校の社会科の研究会に呼んでいただいた時の話です。そこで、1人の若い先生が熱心に話を聞いてくださり、講演が終わった後に「是非この話を小学校でやりたいです!」と声をかけてくださいました。僕の母校の小学校の5年生の担任の先生でした。これが学校教育の始まりのきっかけになったんです。その先生が異動された先の学校で、また講師の依頼をくださる。ご一緒した先生方からも来年もよろしくお願いします、と言ってくださり、どんどん広がっていきました。


市役所の職員さんたちもそうですが、定期的な異動があることを、NPOなどではネガティブに捉える人も少なくないですね。僕は全然逆だと思っているんです。山内さんも環境政策課の後、防災担当の課に移られましたよね。そこでさらに仲間が増えたと思うのです。別の部署に移られて、今度はその部署の立場で一緒にやろうとか、居場所や立場が変われば、ある種責任の度合いも変わるから、思い切ったことを言えるケースもあると思うんです。そういう化学反応みたいなことって、面白いですよね。少なくとも同じ人がずっといると、それ以上広がらないし、本当に大きな取組にならない。他の場所に移られたことで、僕らが知らないことや、考え方、制度も沢山教えていただけるんです。とてもありがたいことだと思っています」





地域の子供たちが体験する機会を創出する

:「環境教育という観点では、こども海ごみ探偵団として、こどもたちを川と海に連れて行き、ごみの分析を一緒に行ってきました。こどもたちは、海のごみは流れてくる間にバラバラになってしまうので、川で拾うことがものすごく大事だということに気づいてくれました。梅雨から台風シーズンにかけての出水期は、保津川にも特にたくさんのごみが流れてきます。冬枯れで、掃除のしやすい季節に集中的にごみ拾いをしようということで、3月に「保津川の日」として、清掃イベントを実施しています


:「下の世代の子供達ほど、とても真剣に考えています。自分たちのそう遠くない未来をどう生きていけるのかということですからね。気候変動に対しても、もうちょっと大人が寄り添って考えてほしいと思いますね


:「他にはフィールドワークとして、今年から小学校4年生全員がラフティングを体験します。保津川下りの乗船場から上流4キロぐらいのところに川の駅があり、そこからラフティングボートで下っていき、ごみ拾いをする体験をしてもらいます。さらに中学生2年生になると、全員が保津川下りを体験することになっています。そして、途中で必ずごみ拾いをするんです。なので、卒業するまでに、保津川を知り、見て卒業するんです。こうした取組を、教育過程に応じてやっています



:「地元の文化にも触れるからこそ、今の問題に対して何かできることがないか、そのアイデアを学生さんから出してもらえますね」


環境への取り組みも経済とリンクさせる

:「保津川の清掃活動の流れをもとにスタートした取り組みが「リバーフレンドリーレストラン・プロジェクト」です。これはハワイに視察に行った際にヒントを得ました。アメリカのサーファーから始まった海の環境を守るプロジェクト「オーシャンフレンドリーレストラン」から着想を得て、川に流れ込むプラスチックごみを削減するなど、環境に配慮した一定の条件を満たすお店を「リバーフレンドリーレストラン」に認定するものです。




リバーフレンドリー認証と給水スポットを紹介する旗