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執筆者の写真Misako Imai

ピアニスト・起業家 松林裕香さんインタビュー「やりきるっていうことは、好きが嫌いになるくらい、表裏一体になるくらいに突き詰めること」

更新日:2021年8月19日

ピアニストで起業家の松林裕香さんにベターライフな生活を送るために心がけていること、キャリアについて伺いました。


松林裕香
1988年 兵庫県神戸市に生まれる。
2004年4月 東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学入学
2007年3月 東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学卒業
2007年4月 東京藝術大学音楽学部器楽科ピアノ専攻入学
2011年3月 東京藝術大学音楽学部器楽科ピアノ専攻卒業。

1995年 第6回兵庫県学生ピアノコンクール金賞
1996年 第7回兵庫県学生ピアノコンクール金賞
1997年 第8回兵庫県学生ピアノコンクール金賞及び優秀賞
2001年 第7回宮日音楽コンクールピアノ部門最優秀賞及び中学生部門1位
2002年 第4回ショパン国際ピアノコンクールin ASIA 入賞
2005年 ザルツブルグ国際音楽アカデミー ドミトリー・バシキロフオーディション合格
2008年 マネス音楽院ニューヨーク国際ピアノ音楽祭にて公開レッスン代表生に選ばれる

これまでに、東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校において伊藤恵氏、東京藝術大学においてガブリエル・タッキーノ氏・伊藤恵氏、幼少期より現在において上野真氏に師事。
その間、レギナ・スメンジャンカ氏、ドミトリー・バシキロフ氏、ステファン・モラー氏、エドワード・ジルバーカント氏に指導を受ける。

2013年
松林裕香 1st Chopin Album 発売

2013年〜2015年
ピアノロックバンド LAID BACK OCEAN
ピアノ担当

2016年〜2019年
ピアニストとして活動する傍ら、アーティストを中心に後進の指導にあたる。

2019年〜現在
・株式会社WAWA 代表取締役社長
(旅メディア運営/上場アパレル企業コンサルタント/不動産関連内装・アートプロデュース/M&A事業)
・株式会社lourdes 取締役
(美容クリニック)
・社長秘書
(不動産ディベロッパー)
・フリーPR
(主に旅行関連/ファッション関連)
・ピアニスト
・ライティング

取材・文・編集・デザイン:今井みさこ


今井みさこ:今回はインタビュー受けてくれてありがとうございます!松林裕香さんとは大学生のときに出会ってよく遊んでいたよね。その思い出の中でも印象に残っているのは、どんなに遊んでも翌日はピアノに向かっている姿。本当にすごいなと思っていました。時は過ぎて、わたしはアメリカに、松林裕香さんはピアニスト兼起業家になっているなんて驚きですよね。大学生のころのわたしたちが聞いたら絶対にびっくりしちゃうだろうな(笑)

松林裕香さんが起業家になったきっかけはなんですか?


松林裕香:わたしは旅行することが好きで、安易な考えだけどPRとかで旅行に行ってお金もいただけて、自分も楽しくて、その仕事って最高だな。と思っていました。そういう仕事をもっとしてみたいなと思って、周りの人に旅行の仕事をしてみたいと口に出していたら、

投資家の方と出会い、いろいろ教えていただいたり、お仕事を紹介してもらったりしていく中で会社をつくることになりました。


今井みさこ:いい出会いがあったんですね。多角的な事業ですが、仕事を受ける上で大切にしていることはありますか?


松林裕香:”趣味や好きなことかどうか”を大切にしています。

例えば、今やっている医療、ファッション、建築関係、地域開発、旅行系、アートやデザイン、内装プロデュースなどは趣味で続けていたり、好きなことばかりですね。

私は興味がないことや好きじゃないことはやってもできない人間なのよく分かってるので好きなことを仕事にしていくしか道がないんです。


今井みさこ:趣味や好きなことでも、仕事としてはやったことがない場合もあると思いますがどのよう取り組んでいるのですか?


松林裕香:やるしかない!はじめに、できますって言うことから始めます。わたしはこんなこともできるし、あんなことやこんなこともできます。とアイデアベースで最初から言っちゃうようにしています。言ってしまったらあとはやるしかないですよね。だから言ったことをやるために死に物狂いで勉強するっていう後付けでそこに自分を持っていきます。

だから結果としてできるようになる。


今井みさこ:それが本当にすごいよね。ピアニストになるのもすごい努力をしてなったと思うし、そのやりきる力に尊敬してます。やりきる原動力はなんですか?


松林裕香:やりきるっていうことは、好きが嫌いになるくらい、表裏一体になるくらいに突き詰めることだと思っています。


私って0か100しかないんです。やるって決めたらそれしかできなくなっちゃう。

それが学生時代はピアノだったし、今は仕事です。

私は人生において一番大切なことを決めてます。一番はピアノ。

そして、ピアノを仕事にしないと決めています。なぜなら稼ぐというのはビジネスになりますよね。ピアノだけはビジネスで見たくないんです。


また、仕事にする上で大切にしていることは趣味や好きなことですが、そこにピアノは入らない。私にとってピアノは好きな事ではないんです。

好きで始まったピアノを人生かけてやってきて、死にそうなくらい努力しないといけないし、プレッシャーもあるから好きなんて感情ではやれないものでした。ピアノをやってきて楽しいなんて感情は一度も持った事ないくらいに、必死にやってきました。


今仕事をする中で、芸大でよかったな、ピアノをやってきてよかったなと思うことが多くあります。今やっている事業内容は一見繋がっていないように見えて、わたしの中ではすごく繋がっています。例えば、建築家やデザイナーと一緒に何かをプロデュースする仕事をする際に、芸大の人たちに声をかけられる。先輩の方にお願いする際にも同じ芸大出身っていうことで間口が広がって、声をかけやすくなって、実際に一緒にやろうってなったり。才能がある人たちに囲まれていたんだ、そして今一緒に仕事に繋がるんだって驚きました。


今井みさこ:予想していないところで繋がった感じですか?


松林裕香:そうです。芸大に必死に努力して入学して、卒業したけど音楽でめっちゃ稼げるとかないから、ずっと費用対効果が悪いなって思ってました。

でも今になって全然違うところで芸大っていうのが効いてきていて、芸大でてよかったなと思ってます。


今井みさこ:費用対効果悪いなって思う気持ちがあったり、いろんな仕事にチャレンジしてもピアノが一番って決めているのもすごいですよね。そういうのわたしにはないかもしれません。


松林裕香:ピアノはずっと弾いていたいし、弾いていない日もあるけど、人生でやっていたいことです。仕事をリタイヤしたらピアノやりたいなと思っています。


今井みさこ:ピアニストとして今後はどういう活動をしたいですか?


松林裕香:もちろん、今でも仕事としてピアノの依頼があればお受けしたいです。だけど、ピアノを積極的に仕事にしていこうとは考えていないです。芸大を卒業して、ピアノだけでやっていくとなると、こういうところで演奏したいという目標がある中で、生活もかかっているから、必死にいろいろやらなくちゃいけない。周りの人たちをみていてすごく抵抗感があって。わたしにはピアノでお金を稼ごうとする意思がないし、そういう風には生きたくない。


評価されている、自分のやったことに対する価値っていただける報酬でしか判断することが難しく、クラシックって日本だと需要が少ないし、いくら頑張ってもたかが知れてる。「芸大行ってすごいね!」って言ってきてた人達....いつまでやっているんだろって、そんな周りの人達も自分自身も思い始めるんです。それがつらくて。その変化が嫌でした。だからわたしはピアノは趣味っていう言葉は好きじゃないんだけど、究極の趣味っていうか…


今井みさこ:ライフワークみたいな感じですか?人生を通してやりたいことみたいな。


松林裕香:そうですね。ピアノだけで稼がないって決めたらすごく楽になりました。ピアノでお金稼がなくていいけど、臨時収入として別に入ってくる分にはいい。

ピアノを仕事として見てないから、好きな案件だけを選べるようなってストレスも減りました。いずれ子供に教えたり、そういう日がくるのもいいなと思っています。


松林裕香さんのYouTubeチャンネルで演奏を見ることができます。

絶対わたしは仕事を続けたい。これはトラウマからの教訓でもあるし、女性は自立しておくべきだと思う。

今井みさこ:いいですね。私が今この「ベターライフアーティスト」のメディアをやる中で、軸になりつつあることが、100年生きる時代にできることを考えようということです。ライフワークとしてなにを、どういうふうにやるのかも生きる意味として大切になってくるのかなと考えていたので、ライフワークについてのお話を伺えて嬉しいです。


松林裕香:人生長いって思ったときに、人生をどうすごすべきかと考えてもわからないことって多いですよね。自分の人生を見返したときに結婚するとは思っていなかったし、離婚するとも思っていなかった。ピアノ以外の仕事として、自分の会社をつくって、不動産の社長秘書もやって…全部、自分の想像とは違うことをやっています。人生計画立てたいけど、全然希望通りになっていないので、将来に繋がりそうな目先の仕事を頑張るようにしています。あと人生において大切なものは決めています。わたしはピアノと犬との時間、そして旅行ができる時間とお金があること。


今井みさこ:人生において大切なものがはっきりしているっていいですね。そして、その大切なものが自分でコントロールできるものという印象です。例えば、彼氏とか夫や子供になると自分だけの問題じゃなくなってくる。でも、そうなっちゃう人って多いと思うんです。


松林裕香:そういう意味では、離婚したっていうことが結構マインドの変化に大きく影響しています。クラシックやってきた人って結婚して夫に養ってもらっている人が多くて。

それにわたしも憧れていたし、結婚したら頑張ることは終わりだなって思っていました。

だから、離婚することになったのは自分の中で価値観の変わる大きい出来事です。

結婚して1年足らずで離婚しているので、社会から離れている時間が少なく、すぐ社会復帰できました。だけど、わたしの周りの友達には経済的や社会的な理由で離婚したくてもできない人が多いんです。そういう友達も見ていて、わたしはいつでも離婚できる自分でいようって決めました。


今井みさこ:経済的にも社会的にも自立するということですね。


松林裕香:そうです。振り返ったときに、あのときに離婚できなかったとしたら、今地獄だったろうなと思うんです。離婚のときに何が大事かって言ったら、いろいろ大事なのはもちろんあるけど、総じてお金が絡んでくる。自分で経済的に社会的に自立していたらお金の心配なく離婚できますよね。そして、お互いに自立している上で一緒にいたいと思った人といれることがベストだなと今は考えが変わりました。


これはわたしが離婚したすぐあとに両親が離婚したっていうのも影響しています。

そんなことになるなんて思っていなかったし、そうなった状況をみていて、夫婦関係はいつでも他人になれるんだって気づいたんです。30年間めっちゃ仲良くやっていたのに、

どっちかが好きな人ができたりとか、どっちかがだめってなったら終わる。

これって相手ありきのことだから、自分だけではどうかできることじゃない。

だから、元他人に生活を委ねるって怖いことなんだなと思った。

だから絶対わたしは仕事を続けたい。これはトラウマからの教訓でもあるし、女性は自立しておくべきだと思う。


今井みさこ:そうですよね。その気持ちすごくわかります。


松林裕香:決して夫を信用していないとかそういうことじゃなくて、一人の人間として自立したいんですよね。


今井みさこ:そうそう。まさにわたしも一人の人間としての自立って大切なことだと感じています。この「ベターライフアーティスト」のメディアをはじめたきっかけが、アメリカで出産して、家族しか居場所がない、ママという立場でしか友達ができないという環境にいる時間があって、すごく寂しかった。インプットとアウトプットを繰り返す生活をしたい、いろんな人に刺激をもらいたいと行動を起こしたのがこのメディアでした。

だから、話していてこれはわたしの人間としての自立の一歩のようなものなのかもと思いました。


松林裕香:そのほうが夫にも優しくできたりしませんか?


今井みさこ:そうそうそう!まさにそうだと思います。自分でこうしたいという目標があると情報のインプットも変わってくる。その情報が夫婦の会話の話題になって、子供以外の話も夫とちゃんとできるようになってより楽しくなる。お互いのためにも、お互いが自立するってとても大切なことだなって実感しているところです。


旅を通して自分が変わっていくのも楽しくなってきました。

今井みさこ:次に、インスタグラムのDMでも質問が多いと教えてくれた旅についてお伺いします。旅が好きな理由はなんですか?


松林裕香:小学生のころからピアノの短期留学で定期的にヨーロッパやアメリカには行ってきました。だけど、ほとんど学校に籠もってピアノを習っていたので、観光はしていなかったんです。

オトナになってピアノ以外で初めて海外を旅行してみたらとっても楽しくて!この経験をたくさんしたいと思ったのがきっかけです。

その時ちょうど離婚したばかりだったので、気が済むまで旅行したい気持ちもあって、貯金を全部使う勢いで旅行しました(笑)


旅行した中でも印象に残っているのは、東南アジアとアフリカ。東南アジアは元々、憧れがすごくありました。学生のときに美術科の子たちが東南アジアバックパッカーで行ったという話をたくさん聞いて「かっこいい!」って思っていたのだけどわたしは結構神経質なので、衛生面からわたしは東南アジアには行けないだろうなと考えていました。

だけど、いろんな旅行先を経験した結果東南アジアにも行ってみよう!と気持ちが変わってきて、カップラーメンをキャリーケースに大量に詰めて行きました。そしたら、意外に現地のご飯も食べられたし、平気だったんです。そういう自分にとても驚きました。旅を通して自分が変わっていくのも楽しくなってきました。


ほかにはアフリカは圧倒的に日本と違ってすごくよかった。建築やアートにも興味があるのでインプットがたくさんできてとても楽しかったです。


今井みさこ:アフリカは行ったことがないのでわたしも行ってみたいと思っています。

つぎに質問したいことは、サステイナブルやウェルネスについて。わたしたちはよくこの2つのトピックについてメッセージしあっているよね。これおすすめだよとか、こういうのかっこいいよねとか。サスティナブルやウェルネスについて興味をもったきっかけはなんですか?


これからはオーガニックやサスティナブルなプロダクトを選んでいきたいので、いろいろ情報をいれています。 何かを買うという行為は、投票と同じ。

松林裕香:わたしは服も小物も大好き。そんな中で流行に流されて買って、一年しか着ないような生き方はしたくないなと思ったのがきっかけです。

これからはオーガニックやサスティナブルなプロダクトを選んでいきたいので、いろいろ情報をいれています。 何かを買うという行為は、投票と同じ。

作り手のこだわりや会社理念を知ったうえで買う=投票したい感覚です。

そして、そういう選び方ができる大人の方がかっこいいと思うんです。


日々の生活では、ペットボトルを買わないようにしています。外出時はどくだみ茶をマイボトルに入れて持ち歩いてます。自分が住む地球だから環境も配慮するべきだと思っています。


美容では、コスメキッチン大好きでよくチェックしています。

ケミカルを顔に塗りたくることに違和感を覚えたのがきっかけで、コスメキッチンのものを選ぶようになってから肌の調子良いですし、安心して使えるので重宝してます。

ウェルネスに関して興味をもった理由は、元々体調を崩しやすかったからですね。

わたしは元々倒れるくらいのかなりひどい頭痛持ちで、その上すぐ風邪ひいてしまう。

一時期は、頭痛薬毎日飲まないと起きれない日が続いて、こんなに頭痛薬を飲んで大丈夫なのかな?と心配になりました。原因はなんだろうと思って、病院で検査をしてもらってもわからくて。

それからマッサージとオイルやハーブを生活に取り入れるようになって、頭痛が改善しつつあります。


精神的なウェルネスのためには、自分で時間の使い方を自分で決められるようにすることを意識しています。つまり、自分自身のイニシアチブをあり程度自分が握れる環境をつくること。わたしにとって人生で大切なことは、ピアノと犬との時間、旅行できる時間とお金があれば基本満足してるしストレスたまらないです(笑)


今井みさこ:最後に、今後の展望のために今やっていることを教えて下さい。


松林裕香:今はとにかく知識増やすことに集中しています。小さなホテルの総合プロデュースや宮古島の開発のアートプロデュースとかする事になったので、とにかく建築、アート、内装や家具を勉強しています。わたしは0か100で何事も取り組みたいので、今は100%仕事に注いでいます。

近い未来の展望としては、年内か年明けくらいにオープンできるように準備をしている美容クリニック(取締役)とコロナの影響で延期になっている某国での音楽フェスを必ず成功させたいです。





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