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「TOKYO GX ACTION MUSEUM」をピックアップ

  • 執筆者の写真: まこ
    まこ
  • 4 時間前
  • 読了時間: 11分

東京都主催のイベント「TOKYO GX ACTION MUSEUM」が、2026年7月25日、26日、東京ビッグサイトにて開催されました。イベントの様子をレポートでお届けします。


「TOKYO GX ACTION MUSEUM」とは?



「TOKYO GX ACTION MUSEUM」は、2030年のカーボンハーフ、2050年のゼロエミッションの実現に向け、Green Transformation(グリーントランスフォーメーション(GX)とは、温室効果ガスの排出を減らしながら、経済成長や産業競争力の向上も実現するために、社会や産業の仕組みを大きく変革する取り組みのこと)を楽しみながら体験できる参加型イベントです。私たちの暮らしの身近なテーマを通して、GXへの理解を深められることが目的です。会場は、テクノロジー、ドライブ、フード、アート&ファッション、エンターテイメントと5分野のブースに分かれ、展示やワークショップ、ステージイベントなど、さまざまなツールでGXや気候変動対策について学ぶことができます。

ゴキゲンらぼでは、イベント会場で気になったブースや企業の取り組みをピックアップしてお届けします!


「きれいにする」の、その先へ

サラヤ株式会社



ヤシノミシリーズ、アラウ.シリーズ、ハッピーエレファントなど、ハンドソープ、や手指消毒剤、台所用洗剤などを中心に、ひとにも地球にもやさしい商品づくりで定評のあるブランドを展開するサラヤ株式会社のブースへ! サステナブルな企業を取材していると、「環境配慮」を掲げる企業は少なくありません。しかしサラヤの魅力は、環境負荷を減らすことだけを目的としているのではなく、「社会課題を解決する技術」を自ら生み出していることにあります。


暮らしと社会を変えるやさしい哲学


「ヤシノミ洗剤」の会社。サラヤ株式会社と聞いて、多くの人が真っ先に思い浮かべるのは、そのイメージかもしれません。けれどブースでお話を聞いているうちに、その印象は少しずつ変わっていきました。サラヤが届けているのは、洗剤や消毒剤という“モノ”だけではありません。その根底に流れているのは、「衛生」「環境」「健康」という、人が心地よく生きるために欠かせない価値を、未来へつないでいこうとする想いでした。創業は1952年。感染症が社会課題だった時代に、日本初となる薬用液体せっけんと専用ディスペンサーを開発。「手を洗う」という新しい衛生習慣を広めてきた歴史があります。けれど、印象的だったのは歴史そのものではなく、その歩みが今も変わらず続いていることです。近年、「サステナブル」や「SDGs」という言葉を耳にする機会が増えました。でもサラヤにとって、それは時代の流れに合わせた取り組みではありません。自然由来の原料を選び、環境への負荷をできる限り抑えながら、人々の健康にも貢献する。そんなものづくりの姿勢は、以前から変わらず企業文化として根付いていました。取材中、何度も感じたのは、「売れるものをつくる」のではなく、「社会に必要なものを届ける」という視点です。


天然の界面活性剤「ソホロ」の実用化に成功


そんなサラヤのサステナビリティを語るうえで欠かせないのが、世界で初めて実用化に成功した天然の界面活性剤「ソホロ(ソホロリピッド)」です。この開発は単なる新素材の誕生ではなく、「人にも地球にもやさしい洗浄剤をつくりたい」というサラヤの長年の挑戦が結実した成果だといえます。1997年から研究を開始し、天然酵母による発酵技術を活用することで、2001年に安定生産・実用化を実現したそう。実は醤油や味噌、酒と同じ作り方だというから驚きです。バイオサーファクタントは以前から存在が知られていたものの、大量生産が難しいとされていた技術であり、その壁を乗り越えたことは大きな技術革新でした。ソホロは、糖と植物油を原料に天然酵母が発酵して生み出す天然由来の界面活性剤です。高い洗浄力を持ちながら、生分解性に優れ、水や土壌へ戻りやすいという特徴があります。さらに、皮膚や細胞への刺激が少なく、安全性にも優れていることから、家庭用洗剤だけでなく、化粧品、医療器具の洗浄、汚染土壌の浄化、さらには再生医療まで応用分野を広げています。洗浄剤の開発が、医療や環境保全へと可能性を広げている点は、サステナブルな技術開発の理想形ともいえるでしょう。石油由来の原料に頼らず、自然の力を活かして新しい価値を創造する。その発想は、創業以来受け継がれてきた「衛生・環境・健康」の理念そのものを体現しています。サラヤのサステナビリティは「環境に配慮しています」というメッセージでは終わらないことだと改めて感じました。未来のために新しい価値を創ること。それを事業として継続し続ける姿勢こそが、サラヤという企業の最大の魅力であり、サステナブル企業として高く評価される理由だと感じます。


美しい物流をつくるcomvey



ECサイトで商品を注文すると、当たり前のように届く段ボールや緩衝材。便利な一方で、開封後にはすぐに「ゴミ」になってしまうことに違和感を覚えたことがある人も少なくないでしょう。そんなECの課題に新しいアプローチを提示しているのが、リユース梱包サービスを展開するcomveyです。こちらのブースにもお邪魔しました。


「梱包を捨てる」をなくす

comveyが提案する、新しい買い物体験


comveyが提供するのは、繰り返し使える「シェアバッグ®」を活用した循環型の配送システムです。商品を受け取った後はバッグを折りたたみ、ポストへ返却するだけ。回収されたバッグはクリーニングやメンテナンスを経て再び配送に使用され、使い捨て梱包材の削減につながります。


サステナブルを「続けられる仕組み」へ


近年、多くのブランドがサステナビリティを掲げています。しかし、環境への配慮が利用者にとって手間や負担になってしまえば、日常にはなかなか定着しません。comveyが印象的なのは、環境負荷の軽減だけでなく、ユーザー体験まで丁寧に設計している点だと思いました。段ボールを解体して資源ごみに出す必要がなく、バッグはポストへ返却するだけ。さらに返却時にはクーポンなどの特典が用意されるなど、「環境のために頑張る」のではなく、「便利だから自然と続けられる」仕組みが組み込まれているんです。私が応援しているオフェンさんもcomveyのサービスを使っていました。サステナブルを特別なアクションではなく、日々の買い物の延長線上に落とし込んでいることが、このブランドの大きな特徴ですよね。



「捨てる」から「循環する」へ


ライターとして興味深く感じたのは、comveyが提供しているのは単なる梱包資材ではなく、「循環する体験」そのものだということです。これまで配送は、「届いて終わり」が当たり前でした。しかし、バッグを返却するという小さなアクションを通して、消費者は資源を循環させるプロセスの一員になります。自分が返したバッグが、また誰かのもとへ商品を届ける。そのストーリーが可視化されることで、買い物という日常の行動にも新たな価値が生まれます。



これからのブランドに求められる価値


商品の品質やデザインだけでなく、「どのように届けるか」もブランド価値の一部として問われる時代になっています。comveyは、梱包という見過ごされがちな接点に着目し、環境配慮とユーザー体験を両立させることで、新しいスタンダードを提案しています。サステナブルであることを声高に訴えるのではなく、心地よい体験を積み重ねた先に、自然と環境負荷の低減につながる——。そんな無理のない循環型の仕組みこそ、これからのECに求められる価値なのかもしれません。「便利だから選ぶ」。その選択が、未来の環境にもつながっていく。comveyは、そんな新しい買い物のあり方を静かに広げているブランドだと感じました。

体験ブース「デカボマート」

CO2排出量を「重さ」で体感する新たな買い物体験!

Earth hacks



「これ、本当に重さが違う!」そんな驚きの声が聞こえてきたのが、ひときわ賑わいを見せていたデカボマートのブースです。カラフルな店内には、普段スーパーで見かけるような商品が並び、一見するとごく普通の売り場。しかし、商品を手に取った瞬間、多くの来場者が思わず顔を見合わせます。実は、その"重さ"には、商品が生まれるまでに排出されたCO₂量(デカボスコア)が反映されているのです。同じカテゴリーの商品でも重さが異なるため、実際に持ち比べることで、普段は目に見えない環境負荷を直感的に体感できます。


「デカボマート」で環境にいい選択を知ろう!


会場では、親子で「どっちが軽いかな?」と楽しそうに商品を持ち比べたり、友人同士で「こんなに違うんだ」と驚きながら話し合ったりする姿が印象的でした。難しい説明を読む前に、まず"体験"がある。その体験が自然と会話を生み、「なぜ重さが違うのだろう」という興味へとつながっていきます。



実際に私も体験させていただきました。受付でミッションカードを受け取ります。私は「衣類を買い換えよう!」というミッションカードでした。ミッションカードを手に店内を巡りながら商品を選びます。トートバッグ、シャツ、Tシャツをそれぞれの棚から、デカボ指数を考えて軽いものを選びます。カゴに商品を入れて、レジへ。



レジでは自分がどれだけCO₂削減に貢献できたのかを確認することができます。ゲーム感覚で楽しめるこの仕掛けによって、脱炭素というテーマがぐっと身近なものに変わっていくのを感じました。子どもたちはまるで宝探しをするように店内を巡り、大人は「普段の買い物でも意識してみるきっかけになると感じました。世代を問わず楽しめるブースですよね。ライターとして特に心を動かされたのは、「環境のために何かを我慢する」というメッセージではなく、「いつもの選択を少し変えるだけで、未来へのアクションになる」という前向きな価値観が、会場全体に流れていたことです。環境問題を数字や知識として伝えるのではなく、買い物という誰もが親しむ行動に落とし込むことで、自分ごととして受け止められる。デカボマートは、そんな新しいコミュニケーションの形を提案していました。また、環境に配慮した商品を選ぶことでVポイントが付与される実証実験も紹介されており、「環境にいい選択」が「うれしい体験」へとつながる仕組みづくりにも挑戦しています。未来の買い物は、価格や品質だけでなく、環境へのやさしさも自然な選択基準になる。そんな先の暮らしを、来場者一人ひとりが楽しみながら体験できるブースになっていました。


三菱UFJ銀行と三菱ケミカルが描く

ケミカルリサイクル



三菱UFJ銀行と三菱ケミカル株式会社のブースでは、リサイクル仕分けチャレンジと題したプラスチックのゴミを仕分けるワークショップが行われていました。ここでは、サーキュラーエコノミーとケミカルリサイクルについて紹介されていました。



サーキュラーエコノミーとは?

日本語で循環型経済と呼ばれる考え方です。サーキュラーエコノミーとは、「つくって、使って、捨てる」という従来の経済から脱却し、資源をできるだけ長く循環させながら価値を生み出す経済の仕組みを指します。製品を修理して長く使う、再利用する、リサイクルによって新たな資源として活用するなど、「捨てないこと」を前提に社会全体を設計する考え方です。サーキュラーエコノミーは「リサイクルの話」ではなく、「ものとの付き合い方そのものを変える考え方」です。

ケミカルリサイクルとは?

ケミカルリサイクルとは?プラスチックを「素材のもと」まで分解し、新しいプラスチックへ生まれ変わらせる技術です。例えば、ペットボトルや食品トレー、包装材などの使用済みプラスチックは、通常であれば焼却されたり、品質が落ちる形でリサイクル(ダウンサイクル)されたりすることがあります。一方、ケミカルリサイクルは、プラスチックを熱や化学反応によって分子レベルまで分解します。すると、石油からつくられる原料に近い状態へ戻すことができ、その原料を使って新しいプラスチックを製造できます。つまり「プラスチック → 原料 → 新しいプラスチック」という循環を実現できるのが、ケミカルリサイクルです。



「循環する社会」は、日常から始まる


資源循環という言葉は、時に壮大で遠い未来の話に聞こえます。しかし実際には、オフィスでペットボトルを分別すること、包装材を正しく回収すること、その一つひとつの行動が循環の入り口になります。三菱UFJ銀行と三菱ケミカルの取り組みは、高度なケミカルリサイクル技術だけではなく、日常を変えることで循環型社会を実現しようとしている点に意義があります。サステナブルな未来は、革新的な技術だけで完成するものではありません。技術を社会の仕組みへと落とし込み、人々の行動と結び付けることではじめて、循環は日常になります。一つのアクションが、資源の未来を変えていく。そんな可能性を感じさせるプロジェクトだと感じました。化学メーカーだけではなく、金融機関である三菱UFJ銀行が主体的に参画していることが印象的でした。サステナビリティは、一部の専門企業だけが取り組むものではなく、あらゆる業種がプレーヤーになれることを、このプロジェクトは示していますね。

ライター木村の感想

専門的な内容も、模型や映像、体験型コンテンツを交えて紹介されていたため、環境問題や脱炭素について詳しくない人でも理解しやすい工夫がされていました。GXは企業や行政だけが取り組むものではなく、一人ひとりの暮らしや選択が未来につながります。会場を取材して印象的だったのは、「環境に良いことを我慢して行う」のではなく、「楽しみながら自然とGXにつながる行動を選べる」というメッセージがイベント全体を通して伝えられていたと思います。最新技術に触れたり、体験型展示に参加したりすることで、GXは未来の話ではなく、日常生活の延長線上にある取り組みであることを多くの人へ伝えられる貴重な機会だと思いました。

 
 
 

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